20th Campus Genius Award
第20回学生CGコンテスト
ノミネートnominate

こういう作品を観てしまうと、悲しいことがあったり人生でうまくいかないことがあったりして、しくしく泣いたりすること自体がバカらしくなってくる。傷ついたり、夢を見たりというのは、そんなちっぽけな主体なんていう考え方というのは、単なるイリュージョンにすぎないのだと分かるからだ。体はバラバラで、心もバラバラで、操り人形なのかもしれないし、人間というよりは装飾みたいな存在なのかもしれないが、でもそれは悲しいことでもなんでもない。そういうものなのであって、むしろ、「良い」のだ。
(土居伸彰)

声と歌の境界はどこにあるのだろうか。この音は身体と空間、どちらから鳴っているのだろうか。
鼻歌を歌うということは、それを通じて自分を鼓舞することでもあるが、歌や身体をめぐるさまざまな境界をなぞって確かめるような側面もある。この作品では、鼻歌という営為が持つそうした不確定な領域へとアクセスしていく遊歩のような側面を、宙吊りにされたパペットというモチーフとその所在なげな動き、ピントが合っているのかどうなのか分からない暗く茫洋とした画面を以って丁寧にすくい上げている。というよりも、このようにまず音があり、その上で映像があるとか、その逆とか、そうした順序を考えることが無意味に感じられるくらい、両者の一致度が高い。視るように聴き、聴くように視るこの体験は、作品に取り込まれてしまうような魔術的な魅力を生み出している。
それでいて、なぞることで得られた境界の輪郭は、結局のところ、人によって、さらには環境によって全く異なる、共有できないものになるのだろう。ラストシーンにはそういう突き放すような態度も感じられ、それも含めて心地良い。
(渡邉朋也)